小説×サークル
あなたも小説を書いてみませんか? 小説を書き始めた「僕」は友達のつてで社会人向けの文芸サークルに参加し、「私」はそうして彼と出会う。どちらも小説を書くという共通点はあるけれどその背景はバラバラで、2人はお互いの小説を読むことで相手の心の内を探ろうとする。小説を通して見える相手のことと自分のこと。一緒に過ごすことで新たな発見をした「私」は「僕」にあることを提案して……。それぞれの視点で描かれる、小説を書く2人の物語。
ストーリー
- あなたに向けて書く小説 前編
- 「牧瀬は彼女できた?」ああ、またこれか、と顔をしかめる。最近は飲み会に行くと必ずと言っていいほどこの質問を受ける。相手が職場の上司でも同期でも同じだ。正直にいないと答えると、今度は「えぇ、意外!」だっ......【続く】
- あなたに向けて書く小説 後編
- 翌週の日曜日、僕はまた同じ時間に同じカフェにいた。今度はちゃんと山田もとなりに座っている。彼は少し不機嫌だった。実は先日の仕打ちがあまりにも癪だったから、早朝に電話をかけて叩き起こしておいたのだ。今日......【続く】