大学時代に行った心霊スポットで大変なことが起きた。

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僕が思うにほとんどの心霊スポットってのは大したことない。だけど、たまに本当にやばいのがある。少し長くなるけど、頭の整理も兼ねて10年前に起こったある出来事をここに書かせて欲しい。

大学生のころ、俺はとにかく暇だった。実家にいたからバイトしなくても何とかなったし、サークルはすでにフェードアウトしていた。

そこで、ある友達を誘って話題の心霊スポットに出掛けることにした。便宜上そいつをボクと呼ぶ。ボクは俺と同じく暇なのに加えてパチスロ廃人という状態異常をわずらっていた。

ビビりだった俺はもともと昼に行くつもりだったが、ボクがパチンコで当てたせいで時間がずれ込み、結局行くのは夜になった。

親から車を借りて2人で向かう。その心霊スポットというのは、月並みだが山に造られた今は使われていないトンネルだ。

1時間半ほど運転したあと道路わきに車を停めて、そこから15分くらい歩いた。すると柵が見えてくる。動物園のヤギとかウシのエリアに立っているような木製のものだけど、腐ってボロボロだった。怖すぎて誰かに手を握ってもらいたかったが、となりには「めっちゃこえー」と下品に笑うボクしかいなかったから諦めた。

柵自体は左端が崩れ落ちて隙間ができていたから簡単に通り抜けることができた。柵を抜けた瞬間、背中がヒリヒリと熱くなるのを感じた。今思うと、これは本能的な警告だったんだろう。

先を進むべきか躊躇したけど、ボクが構わず進んでいくから、つられて俺も歩き出した。

件のトンネルはすぐに現れる。

かなり古いようで、入口は表面のコンクリートがげたりひび割れたりしていた。トンネルの長さは10メートルほどで思ったより長くなかったけど、さすがに中は暗闇で何も見えない。遠くに出口らしき薄い月明かりの半円が浮かんでいるだけだ。

おずおずとスマホでライトをつけるとトンネルの中の様子が部分的にあらわになった。それはとても異様な光景だった。落書きが至る所にある。きっと自分たちと同じように以前ここにやってきた人の仕業だろう。怖いもの知らずがいるもんだ。

それからボクと2人でゆっくりとトンネルの中を歩いていった。途中で大きなクモに遭遇したくらいで、あとは何事もなく出口までたどり着いた。出口の先には山道が続いている。さすがにこれ以上進むのは面倒だったから、また入り口に引き返そうということになった。

するとトンネルの半分ほどまで戻ったところで、背後からカンと金属音のような甲高い音が聞こえてきた。振り返ってライトをかざしても何も出てこない。

それから3、4歩進むたびにカンという音が鳴るようになった。しかも次第に音の鳴る間隔が短くなる。まるで何かが近づいてきているようで、俺たちは怖くなって走り出した。

トンネルを抜けて急いでさっきの柵まで戻る。なぜかその時は柵の中央にある扉が開いていて、俺たちはそこを通った。すごく不気味なことだけど、当時は焦っていたからそこまで頭が回らなかった。とにかく全力で車まで戻ってキーを回す。

カン、カン、という音は柵を抜けてからも続いていた。すぐに車を走らせる。カーナビに帰路を設定する余裕なんてなくて記憶を頼りに来た道を戻っていく。すぐに例の音が聞こえなくなって俺たちは安堵した。でもそれは間違いだった。

ボクがぼそりとつぶやく。

「……これ道違くね?」

車を停めてカーナビを設定すると、確かに道をぐるっと回って元の場所に戻るよう指示された。

「まじかよ……」

仕方なくカーナビの通りに車を進める。道はトンネルのそばに建てられたダムの周りをぐるりと囲っている。舗装されていないからでこぼこで、しかも雨なんか降っていないのに所々に水たまりがあった。

ガクッと車体が揺れる。

それから前に進まなくなった。くぼみにはまったのか。アクセルを踏んでもタイヤが空転するだけだ。

「おい、どうしたんだよ」

ボクの顔は幽霊のように青ざめていた。

「タイヤがはまったみたいだ。道もぬかるんでて前に進まん。……悪いけど、外に出て様子を見てきてくれないか」

「僕がっ!?」

絶望的な表情で訊き返してくる。ずるいのはわかっていたけど、俺は絶対に外に出たくなかった。

「頼む。ここにはお前しかいないだろ」

ボクは苦悩の末にしぶしぶシートベルトを外してドアを開けた。俺は窓を下ろして外の彼に尋ねる。

「どうだ?」

「くぼみにはまってる。けど穴は浅いから押せば何とかなりそう」

よかった。そう胸をなで下ろした時、またカンという鋭い音が響いた。

今度はそれまでのとは明らかに違った。けた外れに音量がでかい。それと同時にボクが叫ぶ。

「おい、何だよあれ」

前を向くと黒い人影がこちらに近づいてくるのが見えた。全身からどっと汗が噴き出してくる。恐怖で目に涙がたまった。それは車のライトに照らされているのに黒いままだった。人の形をした黒い物体。

「うわあああ!!」

次の瞬間、背後でボクの叫び声が聞こえた。即座に振り返ると彼が必死でもと来た方向へ走っていくのが見えた。俺も逃げ出さないと。

そう思った時にはもう黒い人がフロントガラスに張り付いていた。

以上でこの話は終わりだ。最後になるが、ここで1つ白状しないといけないことがある。

今これを書いている僕はボクだ。10年経ってもあいつはまだ行方不明のまま。だからどうか、この投稿を見た人が何か知っていたら僕に連絡して欲しい。

※読んでいただいてありがとうございました。この話は10年ほど前、ネットで見かけたものをもとに書いたのですが、もう詳細を覚えておらずオリジナルを見つけることができません。もしもこれかな、というのがあればぜひ教えてください。

【終わり】


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