友達と初めて行ったメイド喫茶で色々と洗礼を受けた。

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新年を迎える前に備忘録も兼ねてちょっとした過去話を書く。私が友人と一緒に初めてメイド喫茶に足を踏み入れた時の出来事だ。道端でメイド服姿の女性からいかがと声を掛けられ、間抜けにもそのままのこのこついていった私たちは、店内を見て驚愕きょうがくした。内装はごく普通だったが、いかんせん他に客がいないのだ。

何ならメイドさえいなかった。お帰りなさいご主人様を期待していた私はさっそく面食らうことになる。これでは一人暮らしの帰宅と何ら変わらないじゃないか。ところが不幸にもメイド喫茶自体が初めてのことだったから、まあこんなものかと勝手に納得して、彼女に促されるまま着席した。着席してしまったのだ。

接客はそのまま彼女が行った。彼女はまずコースの説明に入る。コースは2種類あって、1つがメイドがテーブルにつくもの。もう1つはつかないものだ。当然、前者の方がずっと値が張る。どちらにしますかとかれたが、先述の通り店内はもぬけのから。これでつかないコースを選んだらただ友人と空虚な空間に取り残される羽目になり、もはや何の為にここへ来たのかわからなくなる。

是非もなしとメイド付きを選んだ私たちは、次に飲食の注文を促された。すでにさっさと店を出ようと考えていた私たちはどちらもメニューの中で最も安いリンゴジュースを頼んだ。これを飲んだら帰る。帰るのだ。ところが悲劇は起こる。2人でごくごく飲んでいると、彼女がふとつぶやいた。私も何か飲んでいい?

反射的にうんと答えたが、私はレイコンマの内にその選択を激しく後悔した。メイドの飲み物はこちら持ちなのだ。そして、あろうことか彼女はメニューの中で最も高いスーパー萌え萌えデラックス何某なにがしを頼んだ。もはや名前からでは中に何が入っているのかもわからない。価格は3000円。なぜ我々ご主人様が500円のリンゴジュースを頼み、メイドが3000円のスペシャルドリンクを飲んでいるのか。これでは主従関係の逆転だ。

その後もメイド主導でサービスが進み、結局、リンゴジュースしか飲んでいないのに私たちの会計は1万を軽く越えた。どれだけ高級なリンゴだ。店を出る時、ちょうど別のメイドに連れられて新たな客が中に入って来たが彼は全てを承知の上なのだろうか。楽しそうなその表情を横目に、私はなけなしの善意をもって彼の無事を祈った。

※あれから他のメイド喫茶にも行きましたが、これ以外はどれも普通に楽しかったです。

【終わり】


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