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僕と私の小説 後編

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「僕」視点

翌週の日曜日、僕はまた同じ時間に同じカフェにいた。今度はちゃんと山田も隣に座っている。実は、先日の仕打ちがあまりにも小癪こしゃくだったから、早朝に電話をかけて叩き起こしておいたのだ。

その日の活動内容は各自の好きな本の紹介で、僕はちょうどその時までに読み終えていた「潮騒」について話した。

「よそから越して来た美しいヒロイン、夜の浜でのキス、嵐の日に2人きりでいる廃墟はいきょ。僕は物語の前半を読んだとき、これは高尚なラブコメなんじゃないかと思いました」

僕のおどけたコメントに数人が相好そうごうを崩す。西野さんはもちろん、きっと山田も読んだことがあったのだろう、隣でニヤニヤと笑っていた。

流石にそれだけじゃあまりにも馬鹿馬鹿しいから、ストーリーの明快なところや、文体の美しさ、三島作品における「潮騒」の特殊性(他の作品を読んだことがないからこれは全部ネットに頼った情報だったが……)、最後に全体の感想なんかを述べて終えた。

「にしてもお前が三島を読むなんてな。あの小説から三島の顔は思い浮かばんかったぜ」

サークル活動が終わって例のイタリアンレストランに行くと、山田が笑いながら話しかけてきた。その隣で西野さんがくすくす笑っている。紆余曲折うよきょくせつあって3人で昼ご飯を食べることになったのだ。

「先週もそれ言われたな」

「誰に?」

「私です」

それを聞いて山田はさらにケタケタ笑う。

「まあでも、ちょいちょい難しい言葉が使われてたけん、どこで知ったか気にはなってたんよ。これで納得したわ」

「恥ずかしいからそういう分析はやめてくれ」

「でも、意味を間違えずに使っているのはすごいと思いました」

「いや、実は校正前だと誤用が結構あって、あとで全部直してるんです。最近あったのは、げきを飛ばす、とか。知ってますか?」

「自分の意見を広く人に知らせて同意や行動を求めることですよね」

「おお、正解です。僕はずっと意味を勘違いしてました」

「俺は励ましたり激励するって意味で使っても、もう間違いじゃない気がするけどな。誤用が定着したってやつ?」

軽佻浮薄けいちょうふはくな振舞いをするが、山田はちゃっかり知識を持っている。その正体の透けない人となりに、僕はずっと彼ならどんな小説を書くのか気になっているのだが、本人はまだ物を書く気はないらしい。

「言葉は時間と共に変わっていきますからね。私はそういう怪しい言葉はそもそも使わないようにしてます。読み手が違う意味に取ったら元も子もないですから」

「確かにそうですね」

「誤用とは違うけど、俺も間違って覚えてた言葉はたくさんあったな」

「へぇ、どんなの?」

「声をあららげる、とか。ずっと声をあらげるかと思ってたわ」

「あっ、私も最初にそれを知ったときは衝撃を受けました!」

山田と西野さんが楽しそうに笑い合う。どうも「今、知りました」とは言い出しづらい雰囲気だ。

料理を食べ終わって、僕たちはレストランの外へ出る。

「2人はこれからどうするんですか?」

西野さんが尋ねてきた。

「僕は太宰府に行こうと思ってます」

「いいですね。今日は何かあるんでしたっけ?」

「いえ、実はちょっと、太宰府を舞台にして何か書こうかと思っていて、その下見に……」

恥ずかしかったから、手を頭の後ろにやって苦笑いをしながら1人で照れた。彼女はそれを聞くとにこりとして

「私もついていっていいですか?」

と続けた。どうして彼女が? と思ったが別に悪い気はしない。それどころか、彼女と一緒に下見に行くのは楽しいに決まっている。

「もちろん、一緒に行きましょう」

僕は山田の方に顔を向けて「お前も暇なら来る?」と誘ってみた。しかし、彼はニヤリとして

「いや、俺はいいや。2人で行ってき」

と言うと、手を振ってさっさと帰ってしまった。僕は彼が帰ったことにちょっとだけホッとしているのがわかって、何とも複雑な気持ちになった。山田には僕のこういうところも見透みすかされてしまっているのだろうか。

「私」視点

1週間が経ちました。その日のサークル活動はそれぞれの好きな本の紹介でした。好きな本と言っても、大抵たいていはみんな直近ちょっきんに読んだ本を紹介しています。今回は牧瀬さんだけでなく、例の彼もちゃんとこの場にいました。

牧瀬さんの順番になって、発表が始まります。潮騒について紹介するそうです。「彼」が一緒にいるおかげか、今日の牧瀬さんは先週よりも伸び伸びとしているように感じます。

「よそから越して来た美しいヒロイン、夜の浜でのキス、嵐の日に2人きりでいる廃墟はいきょ。僕は物語の前半を読んだとき、これは高尚なラブコメなんじゃないかと思いました」

いきなりそんなことを言い出すものだから、私はこらえ切れず、吹き出し笑いをしてしまいました。もちろん彼は潮騒をバカにしているのではありません。そのあとにはちゃんとした特徴や感想を交えながら、おすすめの作品として紹介していました。

「にしてもお前が三島を読むなんてな。あの小説から三島の顔は思い浮かばんかったぜ」

いつものイタリアンレストランで、彼が笑いながら牧瀬さんに向かってしゃべります。サークルの後に3人でご飯を食べに行くという私の目論見もくろみは見事に成功したのです。

「先週もそれ言われたな」

牧瀬さんが決まりの悪そうな顔をします。

「誰に?」

「私です」

彼はアハハハと開けっ広げに笑いました。

「まあでも、ちょいちょい難しい言葉が使われてたけん、どこで知ったか気にはなってたんよ。これで納得したわ」

「恥ずかしいからそういう分析はやめてくれ」

「でも、意味を間違えずに使っているのはすごいと思いました」

「いや、実は校正前だと誤用が結構あって、あとで全部直してるんです。最近あったのは、げきを飛ばす、とか。知ってますか?」

「自分の意見を広く人に知らせて同意や行動を求めることですよね」

「おお、正解です。僕はずっと意味を勘違いしてました」

「俺は励ましたり激励するって意味で使っても、もう間違いじゃない気がするけどな。誤用が定着したってやつ?」

「言葉は時間と共に変わっていきますからね。私はそういう怪しい言葉はそもそも使わないようにしてます。読み手が違う意味に取ったら元も子もないですから」

「確かにそうですね」

「誤用とは違うけど、俺も間違って覚えてた言葉はたくさんあったな」

「へぇ、どんなの?」

「声をあららげる、とか。ずっと声をあらげるかと思ってたわ」

「あっ、私も最初にそれを知ったときは衝撃を受けました!」

しばらく談笑していましたが、今度は先週よりもちょっと早めにレストランを出ることになりました。

「2人はこれからどうするんですか?」

私はやっぱりこのまま帰りたくなかったので、最後の悪あがきをしました。すぐに牧瀬さんが答えます。

「僕は太宰府に行こうと思ってます」

「いいですね。今日は何かあるんでしたっけ?」

「いえ、実はちょっと、太宰府を舞台にして何か書こうかと思っていて、その下見に……」

執筆のための下見。それはつまり、制作過程の1つです。牧瀬さんの小説がどのようにして作られるのかを知る貴重な機会なのです。

「私もついていっていいですか?」

牧瀬さんは私の頼みを快諾かいだくしてくれました。そして、もう1人の彼に向かって尋ねます。

「お前も暇なら来る?」

「いや、俺はいいや。2人で行ってき」

彼はニヤリと笑ってそう答えると、足早に帰っていきました。そして私は、牧瀬さんと2人きりで下見に行けることに胸を弾ませていました。

「僕」視点

大宰府へ向かう電車の中でも、僕たちの会話は川の水が流れるみたいにとめどなく続いた。僕は彼女といると笑い上戸じょうとになるみたいで、些細ささいなことでもとても愉快ゆかいに感じて笑ってしまう。

「実はこの前、書き貯めていた下書きを間違って消してしまったんです」

西野さんがはにかみながら新たな話題を持ち出した。

「え? それ大丈夫だったんですか?」

「半分くらい書けてたのに一気に全部吹っ飛んじゃいました」

「あはは、それは心折られますね」

僕は人目をはばかって出来るだけ声を抑えて笑った。大学のレポートでも仕事のプレゼンでも、苦心惨憺くしんさんたんして作っていたものが、1つの手違いで流れ星のように消えてしまった時のあの絶望は筆舌に尽くしがたい。僕が以前に会社への報告書を消去してしまった時は、精も根も尽き果てて、新たに作り直すよりも大人しく上司に怒られる道を選んだくらいだ。

「パソコンに向かって、終わった……ってつぶやきましたもん」

僕はまた吹き出してしまう。

「それで、その小説はどうしたんですか?」

「やめてしまおうかとも思ったんですが、惜しかったんでもう一度最初から書き直しました」

「すごいですね。僕なら諦めてるかも……」

前例にそくするとそれが僕の順当な選択だ。

「でも、そのおかげで思い切って構成を変えることができて、最後は自分なりに納得できる仕上がりになったんです」

「悪いことが良い結果につながることもあるんですね」

「ほんとにわからないものですよ。塞翁さいおうが馬です」

電車が太宰府駅に到着して、僕たちは改札を抜けた。そのすぐ目の前にある大通りを肩を並べてゆっくりと歩いていく。参拝シーズンでもないのに通りは観光客でごった返していた。

「牧瀬さんは、休日はよく下見に出かけるんですか?」

「いや、いつもは本を読んだり物語を書いたりしてる時がほとんどですね。こうして下見に行くのはたまです」

「今度はどんな物語を考えているんですか?」

「それは恥ずかしいのでまだ内緒です。西野さんこそ、休日はどうしてるんですか?」

「私も今は読書と書き物をしてるのがほとんどですね。たまに友達と遊んだり旅行に行ったりしますけど」

「それは楽しそうでいいですね」

「学生の頃よりアクティブかも知れないです」

小さく笑いながら彼女の方を見ると、彼女はただぼんやりと前を見つめていた。彼女は自分の過去について話すとき、こんなふうに物憂ものうげな表情を見せることがある。そして僕は、彼女の作品に出てくる活発で明るくて直向ひたむきな主人公と彼女自身とのギャップを感じずにはいられなくなるのだ。

「西野さんは、どうして小説を書くんですか?」

突然そんな質問が口を突いて出てきた。彼女は目を丸くしてこちらを向く。

「……書くのが面白いから、ですかね」

さすがに質問が大きすぎて、彼女からも要領の得ない答えが返ってきた。

「すみません、質問が漠然ばくぜんとしてましたね。僕は西野さんがどんなことを考えながら小説を書いているのか気になってるんです」

彼女は「ああ」と言って、しばらく考え込んだ。そして

「小説では自分の好きなことが書けますから」

としゃべり始めた。

「自分が過去にできなかったことやこれからやってみたいことを、自分の好きなように描くことができる。私の想いを投影して生まれた主人公は、小説の中で私の分身になって素敵な経験をするんです。その気になれば私は空を飛べるし、超能力を使えるし、天文学的数字みたいな確率の奇跡だって何度でも起こせます。小説に不可能はありませんから。それって楽しいことじゃないですか」

僕は、何となく1人で勝手に辻褄つじつまの合った気がした。

「つまり、あの作品は西野さんの願望、なんですか」

「…………」

彼女と出会ってから初めて、僕たちの間に沈黙が流れた。するとさっきまではまったく気にならなかったのに、急に周りのにぎやかさが目にも耳にも飛び込んできて、それまで2人きりだった世界が一気に弾け飛んでしまった気がしたから恐ろしくなった。僕は慌てた。

「変なこと訊いてすみません。やめましょっか」

「何だか、すみません」

「いやいや、純粋にその作品だけをもって楽しむのなら、下手に背景に探りを入れるのは野暮なことです。カジュアルなOBサークルの活動なのに出しゃばった事をしました……」

「牧瀬さんって面白いですね。ほら、もうすぐ本殿ですよ!」

何が面白かったのかはわからないが、彼女が気を取り直してくれたことにひとまず胸をなでおろした。

「私」視点

大宰府までの移動中も、私たちはひたすら話し続けました。私は本来、話すよりも聞く方が好きなのですが、牧瀬さんは些細ささいなことにも本当に楽しそうに笑ってくれるので、ついついこちらも色んな話をしてしまいます。

「実はこの前、書き貯めていた下書きを間違って消してしまったんです」

「え? それ大丈夫だったんですか?」

そう言う牧瀬さんはすでに少しにやけています。

「半分くらい書けてたのに一気に全部吹っ飛んじゃいました」

「あはは、それは心折られますね」

「パソコンに向かって、終わった……ってつぶやきましたもん」

私がちゅうを見て絶望したような表情を浮かべると、彼はちゃんと狙い通りに笑ってくれるので何だか嬉しくなります。

「それで、その小説はどうしたんですか?」

「やめてしまおうかとも思ったんですが、惜しかったんでもう一度最初から書き直しました」

「すごいですね。僕なら諦めてるかも……」

「でも、そのおかげで思い切って構成を変えることができて、最後は自分なりに納得できる仕上がりになったんです」

「悪いことが良い結果につながることもあるんですね」

「ほんとにわからないものですよ。塞翁さいおうが馬です」

あっという間に電車は太宰府駅に到着しました。改札を抜けると、あたりは観光客でいっぱいです。私たちは天満宮へと続くまっすぐな大通りを隣り合わせに歩いていきます。

「牧瀬さんは、休日はよく下見に出かけるんですか?」

「いや、いつもは本を読んだり物語を書いたりしてることがほとんどですね。こうして下見に行くのはたまです」

「今度はどんな物語を考えているんですか?」

「それは恥ずかしいのでまだ内緒です。西野さんこそ、休日はどうしてるんですか?」

「私も今は読書と書き物をしてるのがほとんどですね。たまに友達と遊んだり旅行に行ったりしますけど」

「それは楽しそうでいいですね」

「学生の頃よりアクティブかも知れないです」

それは良いことのはずなのに、自分で口にすると、どうしても自嘲じちょうしているような感じがしました。だから、牧瀬さんの方を向く気になれず、ただぼんやりと前を見つめます。

「西野さんは、どうして小説を書くんですか?」

私は反射的に顔を横に向けて、彼の表情を確認しました。いきなりそんな質問が飛んできたので、さっぱり意図がつかめなかったのです。少し悩んで曖昧あいまいな答えをしました。

「……書くのが面白いから、ですかね」

「すみません、質問が漠然ばくぜんとしてましたね。僕は西野さんがどんなことを考えながら小説を書いているのか気になってるんです」

ふと、あのリストのことが思い浮かびましたが、それを話すのは躊躇ためらわれました。しかし、嘘はつきたくありません。だから、本当に思っていることからリストに関する部分だけを抜き取って説明することにしました。

「小説では自分の好きなことが書けますから」

彼は静かにこちらを見つめています。

「自分が過去にできなかったことやこれからやってみたいことを、自分の好きなように描くことができる。私の想いを投影して生まれた主人公は、小説の中で私の分身になって素敵な経験をするんです。その気になれば私は空を飛べるし、超能力を使えるし、天文学的数字みたいな確率の奇跡だって何度でも起こせます。小説に不可能はありませんから。それって楽しいことじゃないですか」

それに対して牧瀬さんが放った一言は、私をこの上なく当惑させました。

「つまり、あの作品は西野さんの願望、なんですか」

のぞかれてはいけないものを覗かれてしまったという、焦りにも似た感覚でした。「鶴の恩返し」の鶴もこんな気持ちだったに違いありません。

私たちの間に初めて沈黙がのしかかりました。しかし、残念ながら、今の私にはそれを気にする余裕がありません。私は項垂うなだれました。考えてみると、私の書いた小説は、所詮しょせん、自分自身をなぐさめるための願望の詰め合わせに過ぎないのかも知れないのです。なんて後ろ向きな創作意欲でしょう。

「変なこといてすみません。やめましょっか」

牧瀬さんは慌てた様子です。私は申し訳ない気持ちになりました。

「何だか、すみません」

「いやいや、純粋にその作品だけをもって楽しむのなら、下手に背景に探りを入れるのは野暮なことです。カジュアルなOBサークルの活動なのに出しゃばった事をしました……」

色を失った様子の彼を見て、反対に私は少し気が楽になりました。そして、これ以上、彼を心配させまいと気を取り直します。

「牧瀬さんって面白いですね。ほら、もうすぐ本殿ですよ!」

「僕」視点

太宰府天満宮にまつられているのは学問の神様である菅原道真公だ。社会人になった今、学問の神様にお祈りしたいことなんて正直何もなかったが、せっかくだから御本殿の前で手を合わせておいた。お祈りを済ませると、僕たちは裏手へ回る。そこにはたくさんの絵馬が掛けられていて、中には韓国語や中国語で書かれているものまであった。

「ちょっとこれ見てください」

西野さんは白い歯を見せて笑いながら、壁のはしに設置された絵馬の記入台のそばに立って手招きをする。近づいて台の上を見てみると、絵馬だけでは物足りなかったのだろう、実に様々な落書きがされていた。

「うわ、すごい落書きですね」

「落書きは感心できないですけど、これは好きでした」

そう言って彼女が指さした先には「ここで絵馬を書くすべての人の願いが叶いますように」と書かれていて、思わず僕の顔もほころんだ。

「これじゃあこの落書きを非難すべきかどうかわからないな」

彼女は引き続きにこりと笑っている。

「落書きはいけないことです。でも、もしもこの落書きがこれから絵馬に願いを書き込もうとする人たちを励ますのなら、これは非難しなければいけないけど、非難すべきじゃないのかも知れませんね」

彼女の言葉が、何か込み入った哲学的な問題に聞こえたものだから、僕は不意に笑わせられた。

「身の回りにはややこしいことばかりですね。そういった価値判断の衝突に快刀乱麻の答えを出すような小説が書ければと思うんですが、僕にはまるでわかりません」

「残念ながら私もです」

僕たちは顔を見合わせると再び笑った。

「それじゃ、先に進みましょうか」

本殿の裏を抜けて少し進むと、両端にたくさんの梅の木が植えられた階段状の道に出る。僕のお目当てはこのスポットだ。

「わぁ、きれいですね」

彼女はそう言って、楽しそうに爛漫らんまんの梅の木の下へ駆け寄った。バラよりもしとやかで桜よりも情熱的な小さな紅梅の花を彼女はじっと見つめる。そっと風が吹いて、いくつかの花弁が空に舞った。それと同時に、彼女の長い黒髪も美しく揺れる。その姿があまりにも綺麗きれいで、僕はハッと息をのんだ。彼女は、しばらくじっと見つめる僕のことに気付いて、少しいたずらっぽくニヤリと笑った。

記録用の写真を数枚撮り終えてから、僕は彼女の方を向く。

「とりあえず僕の見たかったものは一通り見終わりました。もう引き返しますか?」

「私、太宰府天満宮で好きなスポットがあるんです」

それはこの梅の道を通り過ぎた少し先にあるらしい。とことこ彼女についていくと、天開稲荷神社がある丘のふもとに造られた長さ20メートルほどのレンガ造りのトンネルの前にたどり着いた。トンネルの向こうは陽の光に照らされて真っ白に光っているから、その先がどうなっているのかわからない。

「ここが好きなスポットですか?」

彼女は少しおどけて答える。

「ええ、なんだか未知の世界につながってそうじゃないですか」

「そう言われてみると確かに。抜けてみましょう」

トンネルの中は薄暗くて、ただ僕たちの足音だけが反響している。この暗がりや単調に響き渡る足音にレンガ造りのレトロな感じが合わさって怪奇な雰囲気をかもし出しているせいか、それとも幾重いくえにも重なったベールが1枚ずつめくられるみたいに、光が透けて徐々に出口の景色があらわになってくるせいなのか、何だかトンネルの先には本当に未知の景色が待っているように思われて胸がおどった。

しかし、いざトンネルを抜けてみると、そこには大きな駐車場と、何の変哲もない一軒家がいくつかと、その向こうに緑の木々でおおわれた山が見えるだけだった。

「ま、現実はこうなんですけどね」

彼女はそう言って肩をすくめる。

「私」視点

すぐに豪壮華麗ごうそうかれいな太宰府天満宮の御本殿が姿を現しました。その前には大蛇のように長い行列ができています。牧瀬さんは少し迷った様子でしたが、ここまで来てお祈りをしないなんてもったいないことはありません。彼も一応すぐに了承してくれたので、私たちは長い長い順番を待って一緒に礼拝しました。そのあとに御本殿の裏へ回ります。そこには数えるのも気が遠くなるほどたくさんの絵馬が掛けられていました。

あまり絵馬の内容を覗き見するのも無粋に感じられたので、私は歩きながら、それらをサッと流し見する程度にとどめました。はしまで行くと、そばにあった絵馬の記入台がふと視界に入ります。思わず苦笑しました。記入台の上にはびっしりと落書きがされていたのです。少なくとも私の中では、落書きの内容を覗き見することは別に無粋ではありません。今度はお構いなしにそれらの落書きを眺めていたのですが、その内のある1つが稲妻のように私の目に飛び込んできました。

「ちょっとこれ見てください」

私はすぐに牧瀬さんを呼びました。彼はゆっくりとこちらへ歩いてきて、例の記入台に目をります。

「うわ、すごい落書きですね」

「落書きは感心できないですけど、これは好きでした」

伸ばした人差し指の先には「ここで絵馬を書くすべての人の願いが叶いますように」と書かれています。彼の顔が不意にほころぶのが見えて、私の顔もまた緩みました。

「これじゃあこの落書きを非難すべきかどうかわからないな」

「落書きはいけないことです。でも、もしもこの落書きがこれから絵馬に願いを書き込もうとする人たちを励ますのなら、これは非難しなければいけないけど、非難すべきじゃないのかも知れませんね」

私のなぞなぞめいた発言に牧瀬さんは小さく笑います。

「身の回りにはややこしいことばかりですね。そういった価値判断の衝突に快刀乱麻の答えを出すような小説が書ければと思うんですが、僕にはまるでわかりません」

「残念ながら私もです」

私たちは顔を見合わせるともう一度笑いました。

「それじゃ、先に進みましょうか」

本殿を越えて少し左へ進むと、両脇に満開の梅が植えられて大きなアーチゲートを作っている、段々の道へと出てきました。彼はどうやらこの場所に来たかったようです。

「わぁ、きれいですね」

私は衝動的に絢爛けんらんな梅の木のそばへ駆けていきました。小柄な紅梅の花たちが元気いっぱいにその花びらを広げています。しばらくの間、その美しさにすっかり見とれていました。どこからかふわりと風が吹いてきて、花びらがいくつか、ひらひらと踊りながら落ちていきます。ふと我に返って牧瀬さんの方を振り向くと、彼はこちらを見つめていました。まっすぐに私のことを見つめていたのです。私は何だか得意になって、ニヤッと笑みがこぼれてしまいました。

彼は必要な写真を撮り終えると、改めて私に尋ねます。

「とりあえず僕の見たかったものは一通り見終わりました。もう引き返しますか?」

もちろん私の答えはノーです。

「私、太宰府天満宮で好きなスポットがあるんです」

それはちょうどこの道を上った先にあります。私はあえて詳しいことは教えず、ただ彼についてくるようお願いしました。5分ほど歩いたでしょうか。私たちは、ある丘のふもとに造られたレンガ造りのトンネルの入口に到着しました。トンネルの長さは20メートルほどですが、出口が真っ白な陽光に照らされてぼんやりとしているため、ここからではトンネルを抜けた先の景色が見えません(とは言え、もちろん私は以前にここを通ったことがあるので向こう側の景色を知っているのですが)。

「ここが好きなスポットですか?」

私はニヤリと笑います。

「ええ、なんだか未知の世界につながってそうじゃないですか」

「そう言われてみると確かに。抜けてみましょう」

薄暗いトンネルの中で、私たちの足音だけがまるでお互いの存在を確認し合うかのように響き渡っています。不思議なものです。これまでは、出口に近づくにつれて少しずつ鮮明になっていく景色を前に、ひたすら冒険心をき立てられていたのに、今ではもう少し穏やかで愛しい気持ちが込み上げてきます。このまま本当に私たちの知らないどこか遠くへ飛んで行ってしまえたら、どんなに素晴らしいでしょうか。

けれど、そんな気持ちもトンネルを抜けるとパッと弾けて消えてしまいました。そこにはがらがらの駐車場と、どこにでもあるような一軒家と、その向こうに仰々ぎょうぎょうしく緑におおわれた山が見えるだけなのです。

「ま、現実はこうなんですけどね」

私は肩をすくめて見せました。

「僕」視点

僕たちは来た道を引き返す代わりに、そのまま目の前にある道路沿いをつたって帰ることにした。これまでとは打って変わって、道には人通りがほとんどない。

僕はもう下見ができたことにかなり満足していたから、歩きながら早速、新たに書く小説のストーリーについて考え込んでいた。

すると、彼女がいきなり「ふぅ」とため息をらす。

「……さっきの話ですけど、私の書くものはやっぱり全部、自分の願望なんでしょうね。牧瀬さんの言う通りだと思います」

何の前触れもなくそんなことを言い出したものだから、僕はすっかりきもを冷やしてしまった。

「学生のころ、あんまり遊んでないんです。高校までは部活と勉強に打ち込んで、大学は東京で1人暮らしでしたから、バイトに精を出して、気付けば卒業しちゃってました。だから、うらやましいんですよね。どこか遠いところへ出かけたり、友達と遊び回ったり、みんなで1つのことに熱中したりするのが」

彼女は1拍置いて、初めてぎこちない笑顔を見せた。

「がっかりしちゃいました?」

僕はすぐに答える。

「別にがっかりはしません。ただ気になるんです。もしも今持っている願望が現実に叶ったとしたら、西野さんはもう小説を書くのをやめてしまうんですか?」

「……」

「実は、僕は先週嘘をつきました。みんなに見せたあの小説は、本当は二作目なんです。今日は一作目を持ってきました。西野さんに見てもらいたいんです。前のより短いから、15分ほどで読み終わると思います」

彼女は何も言わず、静かにうなずいた。

僕たちの歩く道路は元の大通りへと繋がっている。大通りまで戻って、近くの茶屋に入った。外の雑踏ざっとうとは不釣り合いに中は静かでひっそりとしている。

黒漆くろうるしで塗られたスツールに腰を下ろして注文を済ませると、僕はすぐにバッグから例の一作目を取り出して彼女に手渡した。

この作品は二作目とはかなりテイストが違う。今の僕が日常で感じることを皮肉と滑稽こっけいで書き上げたものだ。自分の表現したいものを全開にして書いたから、きっと気に入らない人はとことん気に入らないだろう。だからこそ、山田にはより万人受けしそうな二作目を見せた。だけど、僕が小説を書いた原点はむしろこっちにあるのだ。一作目を書いているとき、僕は本当に楽しかったし気持ちが良かった。

注文した抹茶セットが届いても、彼女はただひたすら僕の小説を読んでいた。僕は抹茶を一口飲んで、窓の外の小さな日本庭園に目を向ける。日本庭園を囲むへいの上にはどこからかやって来た三毛猫がのろのろと歩いていて、やがて塀を伝って隣の建物の奥へと消えていった。彼女はまだ読んでいる。

うめ枝餅えもちを一口食べる。初めて知ったのだが、道真公の誕生日(6月25日)と命日(2月25日)にちなんで毎月25日はヨモギ入りの梅が枝餅をいただけるのだ。今日がちょうどその25日だから、手に持つこれは緑色をしている。他にも毎月17日は古代米入りが食べられるそうだ。こうしたローカルな情報を仕入れることができるから、僕は下見を重要視している。

パサリ、と音がして顔を上げると、彼女が手に持っていた紙の束を丁寧にテーブルの上に置くところだった。どうやら読み終わったようだ。胸の鼓動こどうが一気に高まる。

彼女は静かにこちらを見つめる。そしてゆっくりと口を開いた。

「ねぇ、」

僕は固唾かたずを呑んで、続く言葉を待ち受ける。そして、彼女は少し興奮気味に、僕の想像とはまったく違うことを言い出したのだった。

「次の小説、良かったら私と2人で合作しませんか?」

「私」視点

牧瀬さんは同じ道を引き返すのがつまらないと思ったらしく、そのまま進み、最初の大通りから少し外れた道を歩いて帰ることになりました。たまに車が通り過ぎるだけで、あたりにはほとんど人が歩いていません。

私はさっき中断させた考えにもう一度取り組むことにしました。ちゃんと向き合わない限り、私の気持ちにはもやがかかったままだと思ったのです。しかし、すぐにもはや取り組みようのないことに気が付きました。私の書く小説は、例え逆立ちして読んだって、やっぱり自分自身をなぐさめるための願望の詰め合わせなのです。他に考える余地などありません。

私は大きなため息をらしました。

「……さっきの話ですけど、私の書くものはやっぱり全部、自分の願望なんでしょうね。牧瀬さんの言う通りだと思います」

牧瀬さんはきっと、いきなり何だ、と驚いたことでしょう。しかし、私は話を続けました。彼に全てを打ち明けてしまいたかったのかもしれません。

「学生のころ、あんまり遊んでないんです。高校までは部活と勉強に打ち込んで、大学は東京で1人暮らしでしたから、バイトに精を出して、気付けば卒業しちゃってました。だから、うらやましいんですよね。どこか遠いところへ出かけたり、友達と遊び回ったり、みんなで1つのことに熱中したりするのが」

彼は何も言いません。私は無意識に、よく居心地の悪いときに見せる、誤魔化ごまかすような微笑ほほえみを浮かべます。

「がっかりしちゃいました?」

「別にがっかりはしません。ただ気になるんです。もしも今持っている願望が現実に叶ったとしたら、西野さんはもう小説を書くのをやめてしまうんですか?」

私はその質問に答えることができませんでした。

「実は、僕は先週嘘をつきました。みんなに見せたあの小説は、本当は二作目なんです。今日は一作目を持ってきました。西野さんに見てもらいたいんです。前のより短いから、15分ほどで読み終わると思います」

私は何も言わず、ただ静かにうなずきました。

道をまっすぐに進んで元の大通りまで戻ると、私たちはたまたま目に留まったある小さな茶屋に入りました。ちょうどその時は他に誰もお客さんがいなかったので、私たちは隅っこのテーブル席に座ることができました。

彼は注文を済ませると、すぐに印刷された紙の束をカバンの中から取り出して、こちらに渡してきます。あのタイミングで口にしたのですから、きっと何かしら彼の思いが詰まった作品なのでしょう。私は黙ってそれを受け取ると、すぐに読み始めました。

小説は、「1日が始まる。僕は起きたくもないのに、目覚まし時計のアラームよりも先に目が覚めてしまった。皮肉なものだ。」という文章から始まって、行きたくもない会社に大急ぎで出社すること、自分のせいではないと心の中で叫びながらクライアントに頭を下げること、進んで仕事を受ける係長と仕事から逃げようとする課長、仕事を押し付けられる人のい同期、結婚を目前に控えた先輩社員の主催する合コンを断る独り身の僕、などなど日常にまぎれた皮肉がこれでもかというほど書き連ねられています。

物語の終盤で、主人公は過去に自分が振った同期に告白をして今度は振られてしまいます。それを今まで仲の悪かった別の同期に見られてしまい、そして主人公は彼になぐさめられるのです。小説の最後はこう締めくくられています。「今日もとんだ皮肉な1日だった。僕はさっさと風呂に入って布団の中へ体を滑り込ませるのだ。また明日来る、皮肉に満ちた、陳腐ちんぷで少しだけ素晴らしい1日を迎えるために。」

この小説には、牧瀬さんの色がとても濃く反映されていました。自分の内に秘める思いをいかにして表現しようかと創意工夫する彼の姿が目に浮かんできて、胸の奥からじわりと高揚こうよう感がき上がります。きっと、これが彼の原点なのです。そして、私も、ただの願望の詰め合わせじゃなくて、自分の心をさらけ出すような、自分の伝えたいことを伝えられるような、何よりもポジティブな気持ちから生まれる意欲で小説を書いてみたいと思いました。

私は彼の作品を丁寧にテーブルの上に置くと、彼の目を見つめて言いました。

「ねぇ、」

牧瀬さんは緊張した面持おももちでこちらを見つめ返します。さあ、彼は次に出てくる私の言葉に一体どんな反応を示すでしょうか。

「次の小説、良かったら私と2人で合作しませんか?」

「僕」視点

それからしばらくが経ったある日の土曜日、サークル活動の日でもないのに、例のカフェで僕はパソコンとにらめっこをしていた。隣では西野さんも同じようにパソコンを前にして座り込んでいる。

「……これ、来週までに終わりますかね?」

僕が情けない質問をすると、

「……わかりません」

と苦笑いの彼女。

合作で小説を書くと決めたあの日、肝心かんじんのストーリーについて考えあぐねた僕たちは結局、出会ってからこれまでの僕たち自身の話をオムニバス形式で執筆してみることにした。できた作品はサークル活動の後にこっそりと山田にだけ見せることになっている。来週の日曜日までに完成させる予定だから、こうして今、必死にパソコンに文字を打ち込んでいるのだ。

西野さんは隣で一体どんな文章を書いているのだろう。僕のことをどんなふうに捉えて、どういう言葉で形容しているのだろうか。少しくらいは良いことが書かれていると嬉しいが。

どうやら彼女の方も僕が何を書いているのか気になるようで、僕たちはしばしば目が合った。そうして、そのたびに、彼女は子供みたいに得意げでちょっといたずらな笑みを浮かべて、僕は嬉しいような照れるようなはにかみ笑いを返すのだった。

僕の物語はあと30分もすればとりあえず書き終わるだろう。しかし、これから西野さんのものと調整しないといけないし、何より、さすがに胸の内を正直にさらけ出し過ぎたから、このまま見せてしまっては、今後恥ずかしくて西野さんや山田の顔をまともに見れなくなってしまう。手直しにまだまだ相当の時間がかかりそうだ。一体どうなることやら。

いずれにせよ、そうしてこの作品が生まれた。もしも今、お前がこれを読んでいるのなら、俺たちは何とか期限に間に合ったということだ。しかも、前の1段落が消されていないのなら、理由はともかく、俺は内容にも大きな修正は入れていないことになる。読み終わったらぜひともめてくれ。

出来ることならお前を驚かせるような奇想天外なエンディングを用意したかったけど、現実はそう上手いこと動いてはくれない。だから、俺の書きたいことはもう書き尽くしたし、ここで筆をくことにする(パソコンに打っているのに筆というのはおかしいか)。

最後に一言、俺はこの小説を書くのが本当に楽しかった。中身が面白いかどうかはわからないけど、ひとまず完成できたことに大満足だ。そして、この小説が書けたのは、元を辿たどるとお前のおかげになる。面と向かって言うのは恥ずかしいから、この場を借りて伝えさせてもらう。ありがとう。

「私」視点

それからしばらくの日が経って、ついに例の作品があと少しで書き終わるというところになりました。私と牧瀬さんは今、いつもサークルで使っているカフェに集まって、最後の追い込みをしています。

「……これ、来週までに終わりますかね?」

彼が力なく尋ねます。

「……わかりません」

残念ながらこちらも苦笑いするしかありません。

小説自体はほとんど書き終わっていたものの、締め切りもかなり差し迫っていたのです。太宰府で話したあの日、2人で延々えんえんと考え込んだ結果、最終的に、私たちが出会ってから今までの話をそれぞれの視点で書くことに決めました。出来た作品は例の彼にだけこっそりと見せることになっています。そして、期限を決めないといつまで経っても完成の目途めどが立ちませんから、来週の日曜日まで、というのが一応の計画でした。

私はあと少しで書き終わるのですが、牧瀬さんの方はどうなのでしょう。書き終わった後も、まだまだ編集や校正をしなければならないので、スケジュール的にはかなり厳しいところです。

と、ここまであれこれ言いましたが、実は私は締め切りのことはあまり気にしていません。それよりもずっと大事なことがあるのですから。

私はチラリと彼を見ました。彼は黙々とパソコンに向かって文字をタイピングしています。かと思ったら、急に顔を横にらして、私と同じようにこちらを見てくるのです。私にはそんな牧瀬さんの気持ちが手に取るようにわかります。そして、彼もきっと今の私の気持ちをお見通しなのでしょう。

彼はこの作品の中で、一体どのように私のことを書いているのでしょうか。私はこういうことになると、途端とたんに不安になってしまう性分なのです。どうか、どうか少しは良いことが書かれてありますように。

そう考えてみると、むしろ私は自分の心の中をさらけ出し過ぎているのかもしれません。私にだって羞恥心しゅうちしんはありますから、牧瀬さんに知られては顔から火が出てしまうような文章がいたるところに散らばっていることは重々承知しています。けれど、ここでありのままの文章を彼に届けたら、きっと彼もありのままのものを私に送ってくれる気がするのです。だから、編集や校正作業の中でも、文章の趣旨を変えるような修正はできるだけ抑えようと思っています。そして、あとは野となれ山となれです。

さて、すでにお気付きかも知れませんが、そうしてできたのが、今、山田さんが読んでいるこの小説です。

まずは、あなたを「例の彼」呼ばわりしたことを許してもらえたらと思います。もちろん、決して悪気があったわけではなくて、本人に見せる作品ですからちょっとした遊び心のつもりで使った表現です。面白いと思ってくれてたら良いのですが。

そして、私たちの小説はどうだったでしょうか。少なくとも私は、この小説を書いていて本当に楽しかったです。これまでも小説を書くことは楽しいと感じていました。けれど、今回ほど前向きな気持ちで書き上げた作品は他にはありません。

最後に、ここ最近で起こった私の心境の変化は、山田さんのおかげでもあります。そのことについて、ぜひ面と向かってお礼を言いたいのですが、せっかくですからこの場でも言わせてください。ありがとうございます!

【終わり】


「僕と私の小説」を読んでいただき本当にありがとうございました。今後も新たな作品ができ次第Twitterにてお知らせしていきますので、もしよければフォローしていただけると嬉しいです!


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